紅 茶 専 科

アールグレイの誕生

2020/05/22
 
この記事を書いている人 - WRITER -
にゃん
紅茶好きの30代主婦。
目覚めの一杯からおやすみ前の一杯まで、紅茶に始まり紅茶に終わる生活をしています。
”お紅茶”なんて上品なものとは程遠い、水分補給を兼ねたガブ飲み派。
主人も実家の家族もみーんなコーヒー派のため、集まったときは一人だけ紅茶と言うメンドクサイことになる(笑)

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今でこそ良く知られ、人気も高い「アールグレイ」紅茶。各ブランドが必ずと言っていいほど作っている茶葉でもあります。
このアールグレイの誕生については諸説あり、どれが本当の話かしばらく分かっていませんでしたが、近年、トワイニング社の9代目サム・トワイニング氏が、トワイニングこそがアールグレイを最初に作ったと発表しました。

 

チャールズ・グレイが求めた「正山小種」

チャールズ・グレイ(二代目グレイ伯爵/1764-1845年)は、22歳の若さでイギリスの下院議員になり、その後海軍大臣や外務大臣を歴任、1830年にはホイッグ党内閣を誕生させて首相になり、工業労働法や都市自治体法、貧民救済法の改正、奴隷使用禁止法などの新法を次々に成立させた人物です。お茶の愛飲家としても知られています。
伯爵が「正山小種」に出会ったのは海軍大臣を務めていた1806年、中国に派遣していた使節団が土産として持ち帰ってきた武夷山の「正山小種」でした。これを大変気に入ったグレイ伯爵は、ロンドンの茶商人に「正山小種」の輸入を注文します。
しかし、当時から「正山小種」は生産量も少なく、手に入れるのは難しいものでした。そこで茶商はそれに替わる茶葉を作り、伯爵へと献上しました。それが今でいう「アールグレイ」紅茶でした。
「アールグレイ」の「アール」は伯爵を意味し、茶葉そのものがグレイ伯爵の名前となっています。

 

アールグレイを最初に作ったのは誰か

グレイ伯爵が求めた「正山小種」の代替品である「アールグレイ」を最初に作ったのは一体誰なのか、しばらくの間それは明らかになっておらず、自社こそが最初に作ったと名を上げる会社も少なくはありませんでした。
しかし近年、かの有名なトワイニング社の9代目サム・トワイニング氏が、トワイニング社こそがアールグレイの元祖であることを発表したのです。
トワイニング社の4代目リチャード二世は、「正山小種」の特長である龍眼の香りに注目し、南国のフルーツをイメージして、当時シチリア島で栽培されていたベルガモットの香りを「正山小種」ではない茶葉につけ、着香葉を作ったのだそうです。
これがいわゆる「アールグレイ」の茶葉となり、グレイ伯爵の元へと献上されました。
トワイニング社では、アールグレイの発明の証として、9代目サム・トワイニング氏と6代目グレイ伯爵が一緒に写った写真を挙げ、自社のアールグレイの紅茶缶に次のようなグレイ伯爵のメッセージを載せています。

トワイニング社は、長年にわたり、我が家系に紅茶を作ってくれました。その中には伝統的なものもあり、私の祖先の二代目グレイ伯爵が、中国の使節団が持ち帰った優美な香りのお茶を気に入ったことから作られたものもあります。それはアールグレイティーとしてずっと楽しまれてきました。
今日、私はその紅茶が世界中で有名になり、その伝統とともに広く知られていることを光栄に思います。

六代目アールグレイ
(磯淵猛『一杯の紅茶の世界史』より引用)

この発表により、現在、アールグレイの元祖はトワイニング社であることが有力となっています。

 

「ジャクソン社」説

アールグレイの元祖を辿るとき、よく目にするのが「ジャクソン」という店の名前です。ジャクソン社は、トワイニング社と並んで有名だった紅茶店でした。そのため、グレイ伯爵が「正山小種」を持ち込んだ可能性が高いと見られてきました。
ジャクソン社は1680年創業という歴史のある店ですが、そもそもは雑貨店で、紅茶の専門ではありませんでした。1840年以降から食料品を扱い、この頃から紅茶の売買も始めたようです。
しかしこの時期、グレイ伯爵はすでに首相を辞めており、年齢も76歳で亡くなる5年前。中国へ使節団を派遣したという、伯爵が政治に関わっていた時期とはズレがあります。
このため、ジャクソン社がアールグレイを最初に作ったとは考えにくいというのが現在の説となっているようです。

 

一風変わったフォートナム・アンド・メイソンの「アールグレイ」

各社それぞれのアールグレイが出回っていますが、中でも特徴的なアールグレイを製造しているのがフォートナム・アンド・メイソン社です。
フォートナム・アンド・メイソン社は1707年の創業。時のアン女王に仕えていたウィリアム・フォートナムがピカデリー街に食品雑貨店を開いたのが始まりと言われています。
フォートナム・アンド・メイソン社のアールグレイの特長は、強烈な燻製香のする「ラプサンスーチョン」にベルガモットを着香したもので、とても香りが強いことで有名です。
トワイニング社や他の店では、ラプサンスーチョンではない別の茶葉にベルガモットの香りを着けてアールグレイに仕上げているので、ベルガモットだけの爽やかな香りを楽しむことが出来ます。しかし、フォートナム・アンド・メイソン社は香りの強いラプサンスーチョンにベルガモットを加えているので、燻製香と柑橘香が混じった妙な香りになっているのだそうです。

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にゃん
紅茶好きの30代主婦。
目覚めの一杯からおやすみ前の一杯まで、紅茶に始まり紅茶に終わる生活をしています。
”お紅茶”なんて上品なものとは程遠い、水分補給を兼ねたガブ飲み派。
主人も実家の家族もみーんなコーヒー派のため、集まったときは一人だけ紅茶と言うメンドクサイことになる(笑)

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