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「ダージリン」ってどんな紅茶?種類や旬、生産地など意外と知らない銘茶のまとめ

2020/06/23
 
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にゃん
紅茶好きの30代主婦。
目覚めの一杯からおやすみ前の一杯まで、紅茶に始まり紅茶に終わる生活をしています。
”お紅茶”なんて上品なものとは程遠い、水分補給を兼ねたガブ飲み派。
主人も実家の家族もみーんなコーヒー派のため、集まったときは一人だけ紅茶と言うメンドクサイことになる(笑)

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紅茶の代表格と言えば、真っ先に浮かんでくるのが「ダージリン」という言葉。
紅茶には他にもたくさんの種類がありますが、「ダージリン」と言えば紅茶だとすぐにわかりますし、どのメーカーもブランドも、必ずと言っていいほど「ダージリン」の茶葉は用意されていますよね。

それくらい、紅茶の中でも特にイメージの強い「ダージリン」ですが、では「ダージリン」について説明せよと言われると、紅茶なんだけど…あれ、そもそも「ダージリン」って何処の茶葉? そもそもどんな紅茶だったっけ? となかなか上手くは説明できないものです。(ダージリンに限りませんが^^;)

というわけで、今回は知っているようで知らない銘茶「ダージリン」についてをご紹介したいと思います(^▽^)
読み終わる頃にはきっと「ダージリン」の紅茶が飲みたくなる…ハズ!(実際私はこの記事のための情報をまとめた時点で飲みました^^)

 

そもそも“ダージリン”とは?

「ダージリン」というのは地名の名前で、インド東部のネパールとブータンの国境に挟まれた山岳地帯になります。
地名がそのまま茶葉の名前になっているんですね。
標高300~2000メートルというかなりの高地で、その高低差により霧が発生して茶葉に水滴をつけ、それを太陽の強い陽射しが乾かすことでダージリンの美味しさが作られると言われています。
また、それにより茶葉の成長が遅く、強い渋味と味わい深いコクのある紅茶ができるとも言われています。
「ダージリン」の地域は夏でも涼しい気候なため、イギリス領だった時代にはインドに住むイギリス人のための避暑地として栄えていました。

 

ダージリンの歴史

1814年から1816年にかけて、イギリスの東インド会社とネパール王国との間で戦争が行われていました(=グルカ戦争)。
イギリスがこの戦争に勝利した後、当時その地方に存在していた王朝のシッキム王国からも分離したダージリンの街は、1835年にイギリス東インド会社の領地となります。

その最中の1841年、ダージリン地区の初代長官となったA.キャンベル博士は、自宅の庭に茶の種(=中国種)をまき、栽培に成功。これは、インド各地で栽培が試みられていた中国種の唯一の成功例であったと言われています。
これを機に、当時中国から茶を買っていたイギリスは、植民地であり避暑地でもあるダージリン地区で商業的に茶の栽培を開始します。
これがダージリン茶葉の始まりです。
19世紀初頭、人口も少なくジャングルのようだった山中の小さな町は、1852年に初めて3つの商業茶園ができ、人口1万人の町へと変貌を遂げたのでした。

1870年代には、茶園の数は113を超え、作付面積は6000ヘクタールまでに成長していました。
産業革命により蒸気機関車を発明していたイギリスは、1881年、標高が高く山間部であるため紅茶の輸送が困難だったダージリンの地に鉄道を敷き、紅茶の輸送拡大にも乗り出していきます。
豆列車と呼ばれたこの鉄道は、始発駅から終点のダージリンの町まで約88kmを走っていました。(ダージリン・ヒマラヤ鉄道)
現在は機関車から車へと輸送方法が変わっていますが、今でも開業当初にイギリスから導入された蒸気機関車が昔と同じように運行されており、1999年には世界文化遺産に登録もされています。

このように、ダージリンの茶葉は意外にもそこまで歴史は古くなく、日本で言えば江戸時代末期頃に誕生した茶葉なのです。
そんな茶葉が何故こんなにも有名になったのか。それは以上の歴史的背景も要因ではありますが、茶葉のもつ独特の風味にも要因がありました。

 

ダージリンの種類と特徴

ダージリンの茶葉は、スリランカのウバ、中国のキームン(キーモン)と並び、“世界三大銘茶”と呼ばれています。
茶葉の大きさは大型のOP(オレンジペコー)タイプのものが多く、ゴールデンチップやシルバーチップといったチップを多く含んでいるものほど高級品とされます。(OPやチップと言った用語の詳細は、「紅茶の等級(グレード)」を参照してください。)

茶葉はティーバッグ用に細かくされるよりも、その香りを重視したリーフタイプで出回ることが多いです。

しかし一言に「ダージリン」と言っても、茶葉を摘む時期によって特徴が随分と変わってきます
“ファーストフラッシュ”とか“セカンドフラッシュ”、“春摘み”“夏摘み”なんて言葉も聞いたことがある方もいらっしゃるのでは?
それらが「なんのこっちゃい」と思っていた方、是非以下を参考にしてみてください。

ダージリン DJ1

初摘みのファーストフラッシュよりもさらに早い時期にテスト的に摘む茶葉を製茶したものを言います。(“フラッシュ”はいわゆる“旬”のこと。)
製品として市場に出回るようになったのは2000年前後とかなり最近の話ですが、やっと生えかかった葉を探して摘むため、希少価値がとても高く、一つの工場から約40kgしか出荷されないというレベルなのだそう。
味わいとしては、生えたてだけに、これ以上ないというほどのフレッシュ感があるそうです。

ダージリン ファーストフラッシュ

 

3月のはじめから4月にかけて摘まれた茶葉を言います。わかりやすく、“春摘みダージリン”なんて呼ばれることも。
量が少なく希少価値が高いので、市場でも高値で取引される高級品です。基本グレードはOP(オレンジペコー)で、多くのチップを含んでいます。
2時間以上かけて発酵させるのだそうですが、それでも茶葉は緑茶のような色合いで、マスカットやバラなどの花を思わせる高貴な香りが特徴とされています。
水色も一見緑茶と思ってしまうくらい、紅茶らしい赤味のない色になります。

ダージリン セカンドフラッシュ

 

5月から6月下旬(7月初旬)に摘む茶葉のことで、いわゆる“夏摘みダージリン”。
香りや味わいの深みとバランスではファーストフラッシュより優れていると言われています。
春よりも日が長くなって気温も上がる時期に収穫される茶葉のため、マスカットフレーバーが色濃く出ます。
また、水色も早摘みのものより赤味を帯びて紅茶らしい美しい赤色になります。
この時期は特にクオリティシーズン(最高のできの時期)とされており、100g数千円以上する超高級品も少なくはないです。

ダージリン オータムナル

 

10月から11月にかけての時期に収穫される“秋摘みダージリン”。
発酵した茶葉はしっかりとした茶色に色づき、渋味や水色も早摘みのものに比べてかなり強くなります。
香りは少し弱くなりますが、草花を思わせるダージリンならではの香り高さは健在。
ヨーロッパではダージリンの中でも特に人気が高く、コクのある味わいと濃い水色のため、ミルクティーにして飲まれていることが多いのだとか。

 

ダージリンの有名茶園

ダージリン地方には現在87もの茶園があると言われています。(が、統合・分離をしていることもあるので絶対数とは言えません。)
ダージリンとひとくくりに言っても、少しの場所の違いで茶葉の特徴が変わってくるため、それぞれの茶園で個性のある茶葉を生産しています。
最近では、茶葉の品質云々よりも、茶園で紅茶を選ぶという通な方も増えてきています。紅茶へ求めるものが、出来上がりよりもそこに至るまでの過程やゼロ地点に移り変わってきた証です。
特に有名な茶園について、その特長をご紹介していきますね。(情報をまとめ次第、随時追加で茶園を紹介していきます。)

キャッスルトン

ダージリンの最高峰」と称される、世界で最も有名で格式高い銘茶園です。
ダージリン地方でも中間的な標高であるヒマラヤ山麓と平野部に茶園が広がっています。そのため、比較的穏やかな気候で、茶葉の風味はまろやかでバランスが良いのが特長です。また、上品で甘味のある香りと優雅な味わいがまさに正統派であると言われています。
中でも夏摘みのセカンドフラッシュは、味と香りがとても強く、他のダージリンとは一線を画しているとされており、市場でも高値で取引されているのだとか。これまでにも市場の最高額を何度も更新しているという記録を残しています。
収穫量の少ないファーストフラッシュにおいては、希少性が高いことも相俟って、プレミアがつくこともあります。
キャッスルトン茶園は、そもそもは高級な紅茶の製造を目的として作られた茶園で、茶園と製茶工場にそれぞれ担当する専門技術者がおり、各専門家のもとでつくることで、洗練された上質な紅茶ができあがるのだそうです。

ピュッタボン(プッタボン)

ダージリン地方で最北に位置する茶園のひとつで、広大な敷地を持っています。特に標高の高い場所で栽培された茶葉が人気で、みずみずしく甘味のある香りが評価されています。
茶樹の品種改良や茶葉の栽培技術の研究を積極的に行っており、特有のみずみずしい香りを出すために特殊な製造技術を用いているのだとか。
特に春摘みのファーストフラッシュが人気で、春らしいフレッシュでさわやかな花の香り(フラワリーフレーバー)と繊細な味わいのバランスが高く評価されています。
茶園名の由来は、ヒンズー語の「葉っぱ(=putta)」と「地域・場所(=bong)」で、「葉が生い茂る地域」という意味から名づけられているそうです。

ジュンパナ(ジャンパナ)

ダージリン地方の南部の谷に囲まれた険しい山間地帯に位置し、標高約1000~1600メートル付近にかけて広がる茶園です。
その地形のため、茶園への道のりがとても険しく、場所によっては車も通れないような所もあり、現在でも馬や人の手によって紅茶が運ばれているのだとか。
特に春摘みのファーストフラッシュは、緑茶のような緑がかった色をしていて、フレッシュな香りと淡い水色で人気が高いです。
イギリス王室からも愛されてる香りのよい紅茶が特徴で、ダージリンの名門茶園とも言われています。
茶園名の由来には物語があります。ダージリン紅茶の栽培が始まる以前、あるイギリス人が狩りに出かけたときにヒョウに襲われ、それを「Jung」という付添人が助けたのですがJungは負傷してしまいます。Jungは水(=ヒンズー語で「pana」)を欲しがったため、主人のイギリス人はJungを川に連れて行き水を飲ませようとするのですが、Jungは息を引き取ってしまいました。それ以来この地を“ジュンパナ(Jung pana)”と呼ぶようになったのだそうです。

オカイティ

ダージリン地方の西部に位置する茶園で、ネパールの国境に隣接する標高1300~2000メートルの山間部に茶園が広がっています。
上品で繊細な味わいが人気で、毎年品質の良い茶葉を安定してつくることでも評価されている、ダージリンでも屈指の実力茶園です。
ファーストフラッシュは、フラワリーフレーバー(草花のような香り)を感じさせるフレッシュな香りと、上品で優しい味わいで、繊細さが特徴的なオカイティの茶葉をよく引き立てています。
1959年に開かれた品評会においては、イギリスのエリザベス女王がこの紅茶を絶賛し、茶園に手紙を送ったほど気に入ったという話があることでも有名なんだそうです。
茶園名の由来は、この紅茶を飲んだ人がその美味しさといつ飲んでも美味しいことから、「Okay Tea(よい紅茶だ)」と言ったことにあると言われています。

マカイバリ

ダージリンの町から南東に下り、マハナディ川の源流のある緑に囲まれた場所にある茶園です。1859年に設立され、ダージリン地方の茶園の中でも長い歴史と伝統のある茶園として有名でもあります。
30年以上にわたり農薬や除草剤、化学肥料などを一切使わずに、太陽・水・空気・土・動植物すべてが互いに関連・調和しあった環境で茶葉の栽培を行う“バイオダイナミック製法”で栽培を行っているのが特徴です。
秋摘みのオータムナルの茶摘みが終わった後、次の茶摘みが始まる春(3月頃)まで茶園を休ませて土づくりを行っています。そのため、開園後最初に摘まれたファーストフラッシュは、さわやかな風味と香りがあり、大自然の生命力を感じ冴えるような味わいがあると言われています。
過去、オークションにて最高額をつけたことでも有名な茶園です。(>>>「紅茶と満月の関係」にてその詳細を紹介しています。)

セリンボン

1886年に設立され、ダージリンの町の西に位置する茶園です。オーガニック紅茶の産地として世界中で有名になっています。
標高1600~2000メートルという高く険しい山の丘陵に沿って、太陽の光を均等に茶樹に浴びせることができるように紅茶の樹が植えられています。
ダージリン南部にあるマカイバリ茶園同様、自然環境の力を利用した“バイオダイナミック製法”を積極的に取り入れており、紅茶の栽培に必要な肥料や水などは、すべて茶園内で調達されています。近年では土の力を利用したオーガニック紅茶の栽培にも取り組んでいます。
香りも味わいもまろやかで、やわらかさが印象的と言われており、特にファーストフラッシュは香りが良いだけでなく、後味や冷めても渋くなりにくいといった点に特長があります。

グームティ

ダージリンの南東部、ジュンパナ茶園の近くにある緑豊かなマハナディ村に位置する茶園です。
100年以上もの歴史を持ち、ダージリン茶園としては珍しく、設立されてから一度も植え替えられずに守られてきた中国種の茶樹が栽培されているそうです。
標高900~1600メートルの斜面に茶園が広がり、豊富な雨と霧、寒暖差の大きい気候により、繊細な香りとふくよかな甘味を持つ良質の紅茶がつくられることで、オークションでも常に高い評価を受けています。
花束を思わせるようなふくよかな香りは、やさしく繊細でありながらも、どっしりとした重みのあるコクとうま味、やさしい甘味があり、奥深い味わいがあるのが特徴です。
「グームティ」はインド語で「折り返し地点」という意味があるそうで、実際に茶園のふもとには大きな街道の曲り道があるのだとか。

リシーハット

ダージリン中心街から西側に位置する茶園で、標高1000~2000メートルの斜面で紅茶栽培が営まれています。
茶園はすべての方角にまんべんなく広がっているため、どの場所でも十分に太陽の陽射しを浴びることができます。特に東側の斜面は日照時間が長く、茶園の中でも最も早くにクオリティシーズンを迎えるのだとか。
丹念に生葉を選り分け、傷んだ茶葉やゴミなどを取り除き、一芯二葉の茶葉とそれ以外の茶葉を丁寧に選別したりするなど、厳重な生産や衛生管理のもとで紅茶が作られており、その丁寧さは多くの紅茶ファンを魅了しています。
ダージリン特有の繊細な香りと、爽やかでシャープな香りを併せ持っているという特徴があります。
ヒンズー語で「リシー」は「聖者」、「ハット」は「場所」を意味し、かつてこの場所は聖者が多く住んでいた土地でもあったことから、「聖なる場所」という意味で茶園名がつけられたと言われています。

アリヤ

ダージリン地方の北部に位置し、標高900メートル前後から1800メートルぐらいにまで広がる茶園です。
通常、ダージリン地方ではひとつの会社がいつくかの茶園を経営していることが多いのですが、アリヤはダージリンには珍しくひとつの会社がアリヤ茶園だけを経営しています。そのため、茶園の隅々までしっかりと管理が行き届き、丁寧な栽培ができるため、品質の良い紅茶に仕上げれるのだとか。
バラのように甘くやわらかい香りが特徴で、ほどよい渋味と熟したような甘味のあるまろやかな味わいがあります。
現在はインド政府やスイスの環境団体からオーガニックの認定も受けているのだそうです。
「アリヤ」は仏教徒に名づけられたもので、「聖なる魚」という意味があり、ヒンズー語では「尊敬」といった意味があるそうです。(「聖なる魚」って紅茶とどういった関係があるんでしょうかね^^)

サングマ

1868年に創業した、ネパールとの国境に近いロンボンバレーに位置する茶園です。「サングマ」はチベットの方言で野性のキノコが豊富に生息する場所が「Sang maru」と呼ばれたことが由来なのだとか。
1934年の大地震により製茶工場が倒壊してしまい、現在では同一資本で隣接するタルザム茶園と共同の製茶工場にて紅茶を生産しています。
2007年からはバイオオーガニック農法に転向し、安全面と香りと味わいを両立した製茶を行っています。

タルザム(テューザム、トゥルザム)

サングマ茶園の中で常に高い評価を受けるクローナル種(=挿し木等の栄養繁殖で増やした茶樹)の茶畑の一区画が個別にタルザム茶園としてデビューした茶園です。
もともとはサングマ茶園と隣り合う茶園として創業していましたが、1934年の地震で倒壊した工場の新設を機にサングマ茶と統合し、再びタルザムの名を冠した茶園として誕生しました。
サングマ茶園のスタッフにより運営されていることから、作られる紅茶の品質は折り紙つき。
凛としたクローナルならではの個性に、どこかクラシカルな中国種の趣を感じられる上質な銘柄と言われています。

オレンジバレー

かつてはオレンジがたくさん採れる畑が広がっていたことが名前の由来となっている茶園で、1865年に創業しました。
標高1000メートルから2000メートルの、ダージリンの町にほど近い谷に茶園が広がっています。
茶畑は名前の由来にもなっているオレンジの木々に囲まれ、滝やロックガーデンなど風光明媚な景色が広がる環境にあり、訪れる人々を目でも楽しませてくれます。
特にセカンドフラッシュは、微かにザラメを溶かしこんだような甘く香ばしい味わいの紅茶に仕上がるのが特長です。

ゴパルダラ(ゴパルダーラ)

「ゴパールという人物の泉」を意味する名前の茶園で、1868年に創業し、ミリクバレーとの境・ロンボンバレーに位置しています。
周囲をタルボ茶園やサングマ茶園、オカエティ茶園などの銘茶園に囲まれた場所にあります。
中国種30%、アッサム交配種70%の茶樹が植えられた茶畑は、最も高い茶畑の標高が2250メートルとダージリンの茶園の中でも最標高に位置し、世界でも2番目に高い標高にある茶園と言われています。

マスカテルバレー

かつてはモハンマジュア茶園だった場所の中国種のエリアを、ひとつの茶園として独立させて誕生した茶園です。標高1200~1800メートルに広がっています。
製茶工場を持たないため、グループ企業のグームティー茶園の工場を使用して製茶されている、グームティー茶園の姉妹茶園になります。
オーガニック認証を取得しており、高品質かつ安全な紅茶を生産しています。
ダージリンの中でも数少ない、樹齢の古い中国種の茶樹を守る茶園として知られていますが、中国種の茶葉は一つ一つの葉が小さく、摘み取りの手間がかかる種で、さらに成長が遅くなる樹齢が古い木々は、収穫量も見込めないというデメリットを持っています。そんなデメリットの方が多い中国種の老樹をあえて残している理由は、クローナル種には出せない密度のある味わいと心地よい渋味、小さな野の花のような香り(スミレのような香りとも)という、中国種ならではの個性を大事にしているからなのだとか。

マーガレッツホープ

1864年に創業した茶園で、クルセオン・ノース地域にあり、380ヘクタールと大きめの敷地を有しています。
1830年ころにはこの地でバラリントン茶園という名前で小規模の茶園が営まれていたそうですが、1927年に、ジョン・テイラー氏と中国人のロンシン氏の助けにより、近代的な機械が導入された工場へ発展しました。その後、茶園はクルックシャンク氏へと所有が変わりましたが、彼の2人の娘のうちの一人、マーガレットが13歳の若さでこの世を去ったことにより、現在の茶園名へと変更されたという由来があるそうです。
日本でも特に人気が高い茶園で、春摘み・夏摘み・秋摘みともに女性的な優しい口当たりを持った上質な味わいがあります。
キャッスルトン茶園やタルボ茶園などダージリンエリアの中でも人気茶園を運営するグループ会社が所有しており、経験豊富なマネージャーのもと、独創的なスペシャルティーの製茶にも取り組んでいるそうです。

タルボ

ネパールとの国境に位置する茶園で、標高762~1890メートルの土地に茶園が広がっています。1872年に設立され、キャッスルトン茶園やマーガレッツホープ茶園など、同じくダージリンを代表する銘茶園を有するグループが所有する茶園でもあります。
ダージリンティー本来の香りの伝統を守りながらも、新しい香りの愉しみを届けてくれているという研究熱心な茶園さん
2010年からはバイオオーガニック農法に転向し、安全面と香りと味わいを両立させた製茶を行っている。

シンブリ

1924年に創業。現地の言葉で「薪がたくさんとれる広大な森」を意味する茶園で、ミリクバレーエリアの標高823メートルに位置しています。
紅茶の製造に関するあらゆる点での熱心な研究と、新しい試みの積み重ねにより、ここ数年で世界的に注目度が上がってきている茶園でもあります。

ラングリーラングリオット

1860年にティースターバレーエリアで創業した茶園です。インド国内で様々な生産地に14もの茶園を所有するグループ会社の茶園のひとつでもあります。
ナムリング茶園やジエル茶園など有名茶園に隣接する土地に、184ヘクタールの茶畑を有する比較的小規模な茶園で、その一部でチャイナ種を栽培しています。
茶園名は、レプチャ語で「究極の地」を意味しているそうですが、その由来には諸説あり、伝説の物語から由来する「今まではそうでも、これからはわからない」という暗示的な意味の言葉を語源としているという説もあります。

リザヒル

1870年に創業した茶園で、1968年に製茶工場が地滑りにより倒壊して以来、工場を持たず、隣接する姉妹茶園のリシーハット茶園の工場が製茶作業を行っています。
リシーハット茶園が中国種系の銘柄を中心に生産するのに対し、リザヒル茶園はクローナル種から作られる銘柄を得意としています。
茶園名は、かつての土地の所有者でイギリス人植物学者であったE.J.キングスリーの愛娘ライザに由来を持っているそうです。

ソウレニ

1902年の創業以来、少しずつ茶畑の面積を広げ、現在では標高700メートルから1300メートルの土地に、95.5ヘクタールにわたって豊かな茶畑を有している茶園です。
2009年より100%バイオオーガニックの製産に変換し、最新の設備により紅茶と緑茶を製産して、生産量の多くを諸外国へ輸出しています。
また、敷地内には世界中からの訪問客をもてなすブティックやリゾート宿泊施設も運営されており、集客にも力を入れているのが他とはちょっと違った特徴です。
“サウ”という荒地にも育つ松の木の一種の名前と、周辺の女王である“ラニ”から茶園名がつけられたと言われています。

このように、ダージリン地区には大小様々な茶園が広がっています。
そしてそれぞれの茶園はその土地の気候に合わせた栽培方法を取り、またオリジナルの製法で以てダージリンティー用の茶葉を作り上げています。
純粋な中国種(=ピュアチャイナ)の茶樹を守っている伝統的な茶園、クローナル(=挿し木をしているもの)を積極的に取り入れている茶園、性格も様々です。
これからダージリンの紅茶を買おうと思っている方は、是非どこの茶園で作られたものなのかという点にも注目して選んでみてくださいね。

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紅茶好きの30代主婦。
目覚めの一杯からおやすみ前の一杯まで、紅茶に始まり紅茶に終わる生活をしています。
”お紅茶”なんて上品なものとは程遠い、水分補給を兼ねたガブ飲み派。
主人も実家の家族もみーんなコーヒー派のため、集まったときは一人だけ紅茶と言うメンドクサイことになる(笑)

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