一言に紅茶と言っても、味や香りは様々です。
ダージリンにアールグレイ、アッサム、ウバ…聞いたことはあるけれど、何が違うのかはよく判らないという人も多いのではないでしょうか?
茶葉の名前は産地名
茶葉についている「ダージリン」などの名前は、そのほとんどが実は産地名を表しています。
最近は紅茶園のオーナーの名前をつけたりしているものもありますが、基本的には各地の名前です。
各ブランドがオリジナルでブレンドしているものは、各ブランドが名付けています。(トワイニング社の「レディ・グレイ」など。)
例えば「タージリン」や「アッサム」はインドの地名なので「インド紅茶」と呼ばれ、「ウバ」や「ディンブラ」はスリランカの地名から名づけられているので「スリランカ紅茶」と呼ばれます。
インド紅茶
インドは紅茶の生産量が世界一の紅茶大国。「ダージリン」や「アッサム」など、有名な茶葉の産地があります。
大きく分けてヒマラヤ山脈に近いインド北東部と、南部の2か所で生産されています。
一般的にインド北部で作られる紅茶(「ダージリン」「アッサム」など)は、産地ごとの風味や香り、渋み、コクがはっきりとしており、南部の紅茶(「ニルギリ」など)はクセが少なくて飲みやすいと言われています。
北東部は大量生産が可能な「アッサム」があるため、インドの紅茶の約75%もの生産量を誇ります。残りの25%が南部で作られる紅茶になります。
主な生産地
茶葉名 | 産地 |
---|---|
ダージリン | ヒマラヤ山脈の裾野に広がる地域。温度差が大きく、濃い霧が銘茶を作り出している。 |
アッサム | ブラマプトラ川流域。インド最大の生産量を誇る。 |
ドアーズ | アッサム高原の西方にある標高の低い地域。 |
シッキム | ダージリンの北部に位置する小さな州。 |
ニルギリ | インド南部のなだらかな丘陵地域。スリランカと気候が似ているため、茶葉の風味もスリランカ風。 |
スリランカ紅茶
スリランカは紅茶の輸出量がインドよりも多く世界一。世界三大銘茶の「ダージリン」(インド)「キームン」(中国)に並ぶ「ウバ」の生産地としても有名です。
スリランカは一年を通して温暖な気候と豊富な雨量があるため、どの茶葉も飲みやすいという特徴があります。
主な生産地
茶葉名 | 産地 |
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ウバ | スリランカ南東部の山岳地帯。 |
ディンブラ | 中央山脈の西側に広がる地域。ウバとは反対側。 |
ヌワラエリア | スリランカで最も標高が高い山岳地帯。 |
キャンディ | 標高400~600mの低い地域。 |
ルフナ | スリランカで最も標高が低い産地。 |
また、スリランカの紅茶は茶園や製茶工場のある標高により以下の3つに分類されます。
・ハイグロウンティー…標高1200~2500m。花のような香りと渋みが特徴。 ・ミディアムグロウンティー…標高600~1200m。芳醇な香りとほどよい渋みが特徴。 ・ローグロウンティー…標高600m以下。濃い味わいながらも香りは弱いのが特徴。 |
日本におけるスリランカ紅茶(セイロンティー)は、主にハイグロウンティー、中でもディンブラ産のものが一般的に多く出回っているようです。また、ローグロウンティーは缶飲料に加工されていることが多いそうです。
中国紅茶
お茶の種類が豊富な中国では、ヨーロッパほど紅茶が好まれてはいません。そのため、紅茶はほとんどが輸出用に作られています。
中国紅茶は大きく分けて2つに分類され、一つは世間一般でいう所の「紅茶」で「キームン」などが有名です。もう一つは「燻製茶」というもので、烏龍茶の名産地としても知られる福建省北部の武夷山で作られている「ラプサンスーチョン」という紅茶です。
主な生産地
茶葉名 | 産地 |
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ラプサンスーチョン | 福建省 |
キームン | 安徽省(上海の西側) |
雲南紅茶 | 雲南省(南部) |
その他の産地:四川省、広東省、広西壮族自治区、湖南省など |
また、インドの「ダージリン」、スリランカの「ウバ」、中国の「キームン」を世界三大銘茶と呼ばれていますが、この地域以外にも紅茶は生産されています。
最近注目度が上がってきている地域についてをご紹介します。
インドネシア紅茶
「ジャワティー」などで知られるインドネシアの紅茶は、色が濃いのに渋味が少なく飲みやすいと言われています。
スリランカ紅茶に似ていますが、少しコク深さに欠けるところがあり、マイルドな口当たりで人気です。
主な生産地
ジャワジャワ島西部の標高1200mほどの高原地帯。
茶葉名 | 産地 |
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スマトラ | スマトラ島北部の標高が低い高原地帯。 |
ネパール紅茶
ネパールはインドのダージリンの西に位置する王国。お茶の栽培が始まったのは19世紀半ば頃からで、本格的に紅茶を生産するようになったのは20世紀後半になってからと言われています。他の地域に比べて割と最近のことですね。
ダージリンに近いネパール東部のイラム地方は気候もダージリンに似ており、またダージリンの茶園で技術を学んだ人がその技術を持ち帰ってきてこの地で紅茶の栽培をしているので、茶葉の品質も良いと言われています。
これまではティーバッグ用の廉価品として評価もあまり高くはありませんでしたが、近年は品質の向上により人気も高くなってきてます。