アフタヌーンティーを広めたベッドフォード公爵夫人アンナマリア

紅茶について

今でこそ広く楽しまれている午後のお茶会・アフタヌーンティー。ゆったりとした午後のひとときですが、そのルーツは一人の女性の「小腹空き」から始まりました。
優雅な貴族社会も楽しいことばかりではありません。どのよなことがきっかけでアフタヌーンティーは始まったのか、その歴史をご紹介します。

 

貴族社会の紅茶習慣

ヨーロッパの中で紅茶が広まり始め、それが一種のステータスとなっていた頃、貴族の間では時間ごとに紅茶を飲む習慣が生まれていました。

朝起きてベッドの中で飲む紅茶…ベッドティー(アーリーモーニングティー)

豪華でたっぷりの食事中の紅茶…イングリッシュ・ブレックファストティー

豪華なディナーの後で頂く紅茶…アフターディナーティー

朝起きてすぐに布団の中で紅茶を飲むなんて寝ぼけて零してしまいそうですね。それでも紅茶に含まれるカフェインのおかげで良い目覚ましになっていたようです。
朝食で飲む紅茶は、特にミルクをたっぷりと注いだものを頂くことが多く、この習慣は現在でも続けられています。ミルク入りの紅茶は、イギリスではミルクティーとは言わず、「ティー・ウィズ・ミルク」と呼んでいます。
朝食後はピクニックなどをし、軽い昼食をとりました。もちろん、この時の飲み物も紅茶であり、ピクニック用の携帯ティーセットというものも存在していました。
日本でもお花見用の携帯お茶セットがあったので、そのティーセット版という感じですね。
その後にディナーとなるわけですが、時代を経るにつれてディナーの時間は徐々に遅くなっていきます。これは、ディナーの前に音楽会や観劇などがあるためで、肝心のディナーは夜の8時~9時頃になってしまっていたと言われています。

 

まだまだあるイギリスのティータイム

貴族社会のティータイムの習慣以外にも、民衆の間で親しまれていたティータイムがあり、それは今でもイギリスの習慣として残っています。

午前中の仕事が終わった後(11時頃)…イレブンジィズ

午後3時のおやつの時間…ミッディーティーブレイク

午後6時のオペラやコンサートに出かける前…ハイティー

起き抜けのベッドティー(アーリーモーニングティー)、朝食時のイングリッシュ・ブレックファストティー、ディナー後のアフターディナーティーと合わせると、最低でも一日に6回のティータイムを設けていることになります。
それだけイギリス人にとって紅茶は欠かせないものということが窺えますね。

 

小腹が空いたことから始まったアフタヌーンティー

ピクニックなどの軽いランチの後から夜遅くなるディナーまでの間、貴族たちには食べ物を口にする時間がありませんでした。
1845年頃、7代目ベッドフォード公爵の夫人であったアンナマリアは、小腹が空いてディナーまで空腹を我慢できないので使用人にお茶と軽食を持ってくるように頼みました。
この行いが後に貴族の女性たちの間に広まり、また夫人自らが客にお茶をふるまったことで、「アフタヌーンティー」として習慣づいていったと言われています。
貴族の女性たちは、午後の3時頃(4時頃とも)から夕方まで、焼き菓子やサンドイッチなどを食べ、紅茶を楽しみました。
アフタヌーンティーはアンナマリアの代名詞ともなり、憧れた女性たちの間で徐々に流行していきます。

ドルチェ ハート型 アフタヌーンティースタンド 3段ケーキスタンド

また、客人を食堂ではなく応接間(ブルードローイングルーム/青と金色で装飾された部屋)でもてなしたため、応接間の狭く小さなテーブルの上は茶器でいっぱいになってしまいました。そこで横ではなく縦に広げてスペースを確保するような道具が考案され、3段重ねのケーキスタンドなどが生まれたと言われています。
優雅なイメージのあるアフタヌーンティーですが、実はその発端は公爵夫人の「小腹空き」から始まったものでした。
しかし、そのもてなしのスタイルや、観劇中にお腹が鳴らないようにするといったアイデアは、おしゃべり好きの女性たちに広く受け入れられ、画期的な習慣として根付いていったのです。

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