真夏の万博で生まれたアイスティー

紅茶について

今でこそ当たり前にあるアイスティーですが、その誕生からはまだ100年ちょっとしか経っていません。
それまでの紅茶は温かいお湯で抽出して飲むものであることが当たり前だと考えられており、わざわざ冷たくして飲むものではなく、そのような発想もなかったのです。

 

万博で生まれたアイスティー

1904年、アメリカのセントルイスで万国博覧会が開かれ、イギリス人のリチャード・ブレチンデンは展示場の一つで紅茶の宣伝をしていました。
熱い紅茶は健康に良いと人々に呼びかけていましたが、その時は7月という真夏、冷房施設が十分に発達していない中を歩いている人々は汗だくです。当然、熱い紅茶になど見向きもしませんでした。
これを見たブレチンデンは、思案の末、淹れたての熱い紅茶の中に氷を入れて売り始めます。
すると、暑い中喉を渇かしていた人々がたちまちに集まってきて、ブレチンデンの店は大繁盛となったそうです。
これが世界で初めてのアイスティーの誕生と言われています。

イギリスでアイスティーは邪道?

以後、アイスティーの需要は高まり、日本でも缶やペットボトル入りのアイスティーが登場し始めます。今ではコンビニなどでも普通に目にしますよね。
しかし、イギリスでは紅茶を熱いままで飲むというのが昔からの伝統で、その考えは未だに受け継がれています。
イギリスの乾燥したすがすがしい気候の中では、冷たいアイスティーより温かい紅茶が合うためだと言われています。
イギリス人の中には、アイスティーに限らず、邪道な飲み方はすべてアメリカで生まれたと考えている人も少なくはないようですが、アイスティーを考え出したのは先述のとおりイギリス人でした。
老舗のトワイニング社でもしばらくはアイスティーを販売していませんでしたが、1997年頃には4種類の瓶入りのアイスティーの販売を始めます。最近ではペットボトルでも販売されていましたね。
伝統的な熱い紅茶にこだわってきた会社も、食文化の変化に対応せざるを得なかったことが窺えます。

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