紅茶の世界事情と日本

紅茶について

世界でお茶を飲む国々は、実に100ヶ国以上と言われています。
その中でも、緑茶を飲む国々は30%、紅茶を飲む国々はなんと70%にもなるそうです。
日本ではどちらかというと緑茶の方が馴染み深いですが、世界に目を向ければ紅茶の方が馴染み深いお茶なんですね。

 

紅茶の生産地「ティーベルト」

紅茶の栽培には温かい気温と豊富な水が必要とされます。そのため、生産地は北緯45度以南、南緯35度以北の範囲に位置する国がほとんどとなっています。この範囲のことを「ティーベルト」と呼びます。

また、ティーベルト地帯の中でも、熱帯・亜熱帯気候の高温の土地で、雨量も多い多湿の気候、昼夜の気温差が大きい地域が最も栽培に適していると言われています。
日本も一応この範囲内には入っていますが、ギリギリ栽培が可能であるという程度。インドやスリランカといった代表的な紅茶の生産国に比べれば随分と北に位置しているので、そこまで紅茶の栽培に向いているとは言い難いですね。

 

紅茶の生産量と消費量

およそ30ヶ国で栽培されているお茶は、年間約250万トンも生産されています。
そのうちの200万トンが紅茶で、残りの50万トンが緑茶と烏龍茶です。お茶の約8割が紅茶であり、いかに紅茶が世界で飲まれているのかがわかります。
日本では紅茶よりも緑茶などの方が主流なので、なんだか不思議な感じですね。
200万トンの紅茶を1日あたりの消費量に換算すると、約5500トン、ティーカップで約23億杯くらいになるそうです。

世界で一番紅茶を飲んでいる国は?

世界で一番紅茶を飲んでいるのはイギリス人と思われがちですが、実はアイルランド人だと言われています。
アイルランド人で一人あたりの紅茶の年間消費量は3キロを超えるそうです。
日本人は紅茶に緑茶と烏龍茶を合わせても、一人あたり年間1キロが精々。紅茶に限って見れば、130グラム程度しか飲んでいないそうです。
同じように、モロッコ・アルジェリア・チュニジアの3ヶ国でも紅茶より緑茶が主流で、世界のお茶事情から見ると例外に当たります。

生産量と輸出量は必ずしも比例しない

生産量が多ければその分他国への輸出量も多いと思われがちですが、実はそうではありません。
実際、紅茶の生産量で比べると、世界一はインドで、次いでスリランカ、ケニアとなっています。
しかし、輸出量で比べると、世界一はスリランカ。インドはなんと4位という結果になっています。これは、インドでは自国で消費する紅茶が多く、スリランカではインドほど紅茶を飲んでいないということを意味しています。
インドは主に自国用、スリランカは主に輸出用として紅茶が生産されているということです。

日本における紅茶の消費量

日本では緑茶が主流と述べましたが、その消費量は実は下降気味にあります。
近年、お茶に含まれるカテキン類がダイエットや生活習慣病に効果があると知れ、トクホなどの認定を受けたお茶もたくさん出るようになり、緑茶の消費量も回復してきてはいるようです。

では日本で紅茶はどれくらい飲まれているのでしょうか。
紅茶の消費量が上昇したのは、1987年頃だと言われています。
この年、缶入りの紅茶が販売されはじめ、紅茶の消費量は6年間で10倍以上にもなっているそうです。
特に1988~1989年の一年間だけで3倍も伸びているという統計があります。
同期間のコーヒーの伸び率が2倍だったことと比べると、いかに紅茶が好まれているかがわかります。
この後も輸入量・消費量共に増えており、茶葉も手軽なティーバッグタイプよりリーフタイプの方の需要量が増していて、本格的な紅茶を楽しもうとする傾向になっているそうです。
ストレス社会を生き抜く人々にとり、心身ともに安らぎのひと時を与えてくれる紅茶に注目が集まっているのが窺えます。
1985年と2000年の輸入量のデータを比べても、輸入量は2倍以上に増えています。(日本紅茶協会データ)
2015年の輸入量が2014年を上回っていることからも、紅茶の人気は高まり続けていると言えます。

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