1人当たりの1日の紅茶消費量が世界一の国はご存知ですか?
紅茶のイメージが強いから、やっぱりイギリスが一番でしょう、と思われる方が圧倒的だと思います。
が!実は世界で一番紅茶を飲んでいるのは、なんと〈トルコ〉なんですΣ(゚Д゚)
(ちなみに2位はアイルランドで、イギリスは3位。)
そんな紅茶大国トルコですが、トルコの紅茶事情って意外と知られていないんですよね。
というわけで、今回はトルコの紅茶事情についてまとめてみました。
同じ「チャイ」でもインド式とは別物
トルコでは、お茶のことを総じて「チャイ」と呼んでいます。
これはミルクやスパイスをたっぷり入れるインド式の「チャイ」とはまったくの別物で、トルコの場合はストレートで砂糖をたっぷり入れるのが当たり前となっています。
角砂糖にすれば2~4個を入れるのが当然らしく、中には角砂糖を口の中に含んで、そこに紅茶=チャイを流し込むというツワモノもいるとかΣ(゚Д゚)
しかし、近年は健康志向の高まりもあり、砂糖ナシの完全ストレートで飲む人も増えてきているのだそうです。
ハーブティーもフルーツティーも「チャイ」
お茶のことを総じて「チャイ」と呼ぶので、当然ながらハーブティーもフルーツティーも、およそ”ティー”とつくものはすべて「チャイ」となります。
もっとも一般的に「チャイ」が意味するところは”紅茶”ですから、「チャイ」を注文したらハーブティーだったということはほとんどないようです。
トルコの紅茶の歴史は浅い
一日中紅茶=チャイを飲むトルコですが、実は紅茶の歴史は意外と浅いんです。
トルコの地はそれまでオスマン帝国が支配していましたが、第一次世界大戦後、オスマン帝国は領土を失い、経済的に衰えていきます。
それまでトルコでは紅茶よりもコーヒーが主流でしたが、帝国の経済が傾いたことでコーヒーを輸入できなくなり、国内でコーヒーの価格が高騰していきました。
その後、トルコ共和国が成立すると、初代大統領ケマル・アタチュルクがコーヒーよりも紅茶の方が安くできるということに目を付けます。
1924年、政府は黒海地方のリゼをお茶の生産地とすることを決めます。
そして1930年、グルジアから70トンもの紅茶の種をリゼまで持ってきて栽培を始めたのが、トルコの紅茶の歴史の始まりとなりました。
紅茶の生産量は世界第5位
紅茶の生産量が多い国は、インド、スリランカ、ケニアが上位3位を占めていますが、それに続いてロシア、トルコと並びます。
紅茶生産の歴史はとても浅いトルコですが、紅茶大量消費国だけあり、生産量も相当に多いことが窺えます。
「チャイ」を入れる2大アイテム
トルコの紅茶=チャイを入れる際に使うものは、私たちが通常使っているティーポットとティーカップとは少し異なります。
2段式のやかん(ポット)「チャイダンルック」
日本ではなかなか見かけることのない、2段式のやかんポット「チャイダンルック」。
トルコの雑貨を扱っているお店でなら購入することが出来そうですが、楽天市場やAmazonといったオンラインショップでは、ブランド物で、めちゃめちゃ高いお値段で販売されていて、なかなか買おうという気にはなれないです(;^ω^)
本場トルコのバザールなどでは日本円よりかなり安く購入できるし、サイズも大きいものから小さいものまで様々にあるそうなので、現地で購入できたら一番良いですよね。
さて、この2段式のやかんポット、使い方がまた面白く、「チャイ」の入れ方も普通の紅茶の入れ方と少し違って興味深いものがあります。
下段には水を入れ、上段には茶葉を入れます。
下段の水を火にかけ、沸騰すると、その蒸気が上段の茶葉を蒸すという仕組みです。
その後、下段のお湯を上段に移し、15~20分ほど弱火にかけて紅茶を煮出します。
下段の余ったお湯は、濃く煮出された上段の紅茶を薄める役割もあるんだそうです。
ロシアの紅茶の入れ方で、濃くなった紅茶をサモワールというお湯の入ったジャグで薄めるというのがありますが、それをもっとコンパクトにしたような感じですね(*‘ω‘ *)
そして先に茶葉を蒸すというのも面白い工程です。
15~20分ほど弱火で煮だすのも、かなり濃くなりそうですよね。
熱いうちに飲み干せる小さな「チャイグラス」
煮出した紅茶を飲むときに使うのが、「チャイグラス」。
こちらはティーアイテムとしても可愛らしく、持っているよという方も少なくはないと思います。
実際、私の周りでもフォルムを気に入って持っている人がいますが、「チャイグラス」だからインド式のチャイを入れて飲むものだと思っていたみたいです(;^ω^)
それだけ、インド式のチャイの方が日本では認識が強いってことですよね。
それはさておき、「チャイグラス」。
これは一般的にはすりきりで100cc程度が入る小ぶりなサイズとなっています。
トルコではチャイは熱々のものを飲むという文化があり、あまり大きいグラスだと、飲んでいる途中で冷めてしまうので、熱いうちに飲み干せるよう小さいサイズになったと言われています。
また、真ん中がすぼんだチューリップ型が最もポピュラーな形で、これも熱いチャイが冷めにくいという構造になっているんだそうです。
そして、すりきり一杯を飲むので、こぼれても大丈夫なようにソーサーは必須。
赤い水色を楽しむため、基本は柄のない無色透明なガラスのものが好まれるそうです。
「チャイグラス」を検索すると、エキゾチックな絵柄が施されたきらびやかなものが多く出てきます。
これらは主にインテリア商品として、お土産用にされていることが多いようです。
さらに、グラスそのものの製造はトルコで行っていますが、絵付けや装飾は別の国(チュニジアなど)で施されていることもあるようです(*‘ω‘ *)
持ち手が付いたものやティーカップタイプもある
チャイグラスの中には、下部の方に持ち手が付いたものや、見た目は完全にガラス製のティーカップというタイプのものもあります。
これらも装飾が施されたグラスと同じで、インテリアやお土産用であることが多いようです。
本場トルコのチャイグラスを持ち慣れてない人や、熱いものを持てないという人に向けて作られたものだそうです。
「ウサギの血のチャイ」
おいおい、なんて物騒なチャイだよΣ(゚Д゚)
と、思ってしまう人も多いと思いますが、実はコレ、美味く入れられたチャイへの賛辞の表現なんです。
よく煮出されていて味も香りも美味しくできたチャイは、その鮮やかな赤い色を「タブシャン・カヌ」=ウサギの血に例えられることから、称賛の言葉として広まっています。
また、ウサギは身体の大きさの割に血が多く、仕留めた猟師がウサギの血を抜くのに一日かかるという手間にもかけているそうですよ(*‘ω‘ *)
トルコでチャイは至る所で飲める
紅茶大国というかもはやチャイ大国といった方が良いトルコ。
街中でもどこでも、チャイを飲む文化は根強く、基本何処に行っても飲むことができます。
チャイを提供してくれるカフェ(=チャイジュ、チャイ・オジャーウ)がたくさんあるのはもちろん、普通の職場にもチャイの給仕係が常駐しているそうです。
カフェの店員さんは男性、職場の給仕係の方は女性が多いのも特徴だとか。
ちなみに「チャイジュ」はカフェのことも店員さんのことも指し、「チャイ・オジャーウ」はもともとは給湯器のことを指すのだそうです。
街中で見かけるチャイの配達
チャイはいたるところで飲める、というのは、街中でチャイを配達している人を多数見かけることにも由来しています。
チャイとは関係ないお店や職場には、チャイを注文する専用のインターホンが設置されており、そこから注文を受けたチャイジュがあらゆるところに配達に出かけます。
配達員は金属製のトレーにチャイを入れる道具一式を乗せてそれを吊るし持ち、人と人の間を駆け抜けていくそうです。
グラスに入れたチャイを運ぶわけではないので、零れる心配はないのだとか。
そして配達されてきたチャイは、目の前で配達員が入れてくれます。
熱々のチャイを飲む文化なので、グラスに注がれた温いチャイはやっぱり配達されないんですね(*‘ω‘ *)
男性の社交場「チャイ・エヴィ」
トルコには男性の社交場「チャイ・エヴィ」があります。
バックギャモンなどのゲームに興じながら、日中はご年配の方々が、夕方以降の仕事終わりには若い人も加わって、チャイを片手に談笑に興じているのだそうです。
日本だと仕事終わりはお酒を飲みに行くというイメージですが、トルコではチャイを飲みに行くんですね。
もっとも、日中だってチャイを飲んでいるので、わざわざチャイを飲みに行くというよりは、当たり前にチャイ片手に談笑しに行くという感じでしょうか(*^▽^*)
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